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2240円
フレデリック・ターナー著 大瀧啓裕訳。初版。カバーランクA 本体ランクC(ヤケ)。人類はテクノロジーを駆使して火星を居住できるようにした。月の一つフォボスを人工太陽陽に変え、火山を活性化して人工大気を噴出させ、南極北極を解氷させたのである。こうして火星は退化と遺伝工学の奇怪な組み合わせによって多彩な毒茸や卵樹、大エイのような空飛ぶ恐龍プテラノドンや純白の巨鳥ロックなどの棲息する極彩色の楽園となった。人々は審美的な法のもとで女権社会を営んでいる。話は女優クレオパトラと愛人の両性具有者、老いた好色家の叔父の三人で予言者を求めてシンドバットのような航海に出るが、クライマックスに至って予言は、あのギリシアの知恵が教えたとおり息子が父を殺し、母とまぐわうという悲劇を再現することになる。だが、欲しいものがすべて手に入るため、倫理も罰もなく、かわりに美学しかない社会では、悲劇も哄笑に呑み込まれてしまうのだ。ターナ一の壮大華麗なヒロイック・ファンダジー仕立ての観念小説の成果をとくと吟味あれ。



